2014-01-01から1年間の記事一覧

題詠ブログ2014 まとめ

(001:咲) 散り際の火こそくれなゐ咲み昏い汝に夭折兆さざりしも (咲:ゑ 汝:なれ) (002:飲) 酸は淡く春風にひそみ飲食もしづけきひとのはなむけとなす (酸:す 飲食:おんじき) (003:育) 身のうちに琉金ひとつ育める乙女かつての春を超ゆらむ …

完走報告(有櫛由之)

なんとか完走しました。ありがとうございました。 今年は詠めない題が多く苦労しました。

100:最後(有櫛由之)

臘月の最後の一人として朝を小窓拭きつつ迎へてゐます

099:観(有櫛由之)

この空が観測気球の沈降をかよはき電波もて語りあふ

098:吉(有櫛由之)

団栗が額にあたるは吉兆と思ひましたが違ひましたか

097:陽(有櫛由之)

冬凪のにぶき光のかぎろへるみぎはを山陽電車揺れゆく

096:翻(有櫛由之)

虚空へと無地の黒旗翻り身を裂くほどに鵙猛るはも

095:運命(有櫛由之)

波際に指輪を放ち丁寧に運命線の縺れをほどく

094:雇(有櫛由之)

朝な朝な皺皺の手に雇はれてにぼしの頭享くる日溜まり

093:印(有櫛由之)

思ひ出にしたたったのは誰の水嘘の印を幾つも残す

092:勝手(有櫛由之)

まちがって今朝買ってきたカブトムシ勝手に標本にしやがって

091:覧(有櫛由之)

秋の花(紫色)の一覧の山辣韮に泡盛にほふ

090:布(有櫛由之)

暮れ際の布袋葵をつっついて期待の意味を思ひだしてゐる

089:煽(有櫛由之)

飴色の風に煽られ一面にねこじゃらし柔らかき背中よ

088:七(有櫛由之)

夏空に赤き人魚を食みしより七百九十九年 かなしい

087:故意(有櫛由之)

これはもう故意なのでせうまた駅であなたがかすか微笑んでゐる

086:魅(有櫛由之)

ゆふづくよ暁闇に鬼魅とゐてやさしき嘘をささやいて吐く

085:遙(有櫛由之)

銀漢やそらみつ大和遙かなる大地を駆け掬ふ大飛球

084:皇(有櫛由之)

皇帝ペンギン飼育係の定年に月見草一鉢が青みて

083:射(有櫛由之)

茜さすマット・マートン射干玉のゴメス並びて颪衝くかも

082:チェック(有櫛由之)

トラベラーズチェックって何アフリカの白地図をくり返しなぞりて

081:網(有櫛由之)

地図買ひにゆけば北風とよもして天網の目に水青ゆらぐ

080:議(有櫛由之)

またせたね、黄色い風が不可思議の種をどこかの国へ運ぶよ

079:絶対(有櫛由之)

あれ何処へいつたでせうか絶対に開けてはならぬ箱でしたけど

078:棚(有櫛由之)

秋の日の剝いた甘さの葡萄棚くぐる透羽蛾ひとに知らるな (透羽蛾:すかしば)

077:聡(有櫛由之)

天の窓越え美しき大麒麟 生きるものみな目聡くあれよ

076:ほのか(有櫛由之)

かなしびといふ火のありてししむらにさすうす緑ほのかほのかに

075:盆(有櫛由之)

ほつほつとともし火消えて地蔵盆の子らの声こゑあはく残りき

074:焼(有櫛由之)

アルコールランプの蒼き火もて焼く栄螺に泡はふつふつと来つ

073:谷(有櫛由之)

谷渡る鶯の音に驚きてうつつに戻る霧の白峰