2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧
晴天に爪立つ煙突掃除夫の片頬笑ひ 月に倦むべし
夏椿われの踵を掠めたる音を遠くの夢に聞きつつ
ユリノキの木下闇より黝揚羽たちて幽かに腐臭のにほふ
細き喉嗄れんばかりに鳴き下ろすチイサイトリのユメの大空
たぎつ瀬の水無月青葉緯糸にさして貴様と刺し違へたり
かぶとむし右手に持って応答せよ応答せよと夏の子が過ぐ
絶えむとやおほわたつみに比丘尼魚の桃色透けてふかきかなしみ 比丘尼魚:びくにん
名にし負ふ喜連瓜破の早指しの棋士早川のあをき髭面
中央と名乗つたばかりに四国中敵に廻した 特産は紙
奇貨居きて十歳経にけり枇杷好きの喇叭奏者をまたも騙しつ