2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧
メドゥサはいちばん妹かなしみとあいの違ひがわからなかつたの
(お姉さま援からないね)北を指すなかば乾いた旅人の跡
玻璃色のキョムの追加はサービスで知らない森の獺料理店 (獺:うそ)
ふるゆきの白痴少女は毒花を捜せよとこふ夏の蔭濃し (少女:をとめ)
廃天使憂ひの頬に照り返る凌霄花にわづか艶めく
廃校に種を散らして鳳仙花花壇のことは忘れてしまふよ
物語。くるった種をはらむ実を懐かしむほど花赤く咲く
延延とばかげた話するだらうぼくら歪んだシリウスの眼で
あけなづむ藍錆色を背に月をほろびの女王として慕ひたり (女王:わう)
なつかしい土に倒れてハルジオンその朧なるべにをよすがに
ふゆに濡れいづれの世にかそばにゐたひととも思ふ朝のあをさぎ
還りこぬ赤きベスパの原形を奪ひつくして花アーモンド
冬蝶の屍はゆきなづむ不愉快な腕は川に沈めてあげる (屍:し 腕:かひな)
さみどりに澪ひく波を寂しみぬ 古甲板員みたび娶りき
かすれつつ返事は絶えて残さるる花の名と青臭き口臭
けぶりたるモロゾフ瓶に一茎の水仙とドン・チェリーの短筒
身のうちに琉金ひとつ育める乙女かつての春を超ゆらむ
酸は淡く春風にひそみ飲食もしづけきひとのはなむけとなす (酸:す 飲食:おんじき)
散り際の火こそくれなゐ咲み昏い汝に夭折兆さざりしも (咲:ゑ 汝:なれ)