2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

題詠ブログ2013 100首

新:梅の木に梅の花だけ新しく 悲しみさへも朽ちるかと問ふ 甘:山鳩の骸いとしくつつみこむ昨夜からの霧雨の甘さよ 昨夜:きぞ 各:駅ビルのエレベーターは各階に開けっぱなしの群ホトトギス やがて:やがてやむ春のむら雨ははそはの子を抱くかひな白きもか…

100:止(有櫛由之)

謂ひ止[さ]した言葉にさへもことだまはゐて消えかかるこゑの告天子よれよれながらなんとか完走いたしました。今年は難しい題が多かったように思います。 とても楽しませていただきました。ありがとうございます。

099:文(有櫛由之)

秋の日の弱まりゆくにひとひらの仮名文字の散る、人はかなしい

098:濁(有櫛由之)

ゆっくりと濁りゆくなか(クレマチス)恋人の名も思ひだせない

097:証(有櫛由之)

ひきかへに失くした声の証にはとても小さき桃色の貝

096:季節(有櫛由之)

にくしみとふ言葉をそっと蜂鳥に恋の季節のたびにをしへる

095:例(有櫛由之)

くらげなす漂ふ愛の物語り例へば知られなく畢るとも

094:衆(有櫛由之)

桔梗の青睛に痛し衆道の短き滾り百舌鳥の早鳴き

093:ドア(有櫛由之)

開いてはいけない方のドアでした さきがけとして降る雪の見ゆ

092:局(有櫛由之)

肩広の通信局長二枚舌なれど呂律のロマン・ローラン

091:鯨(有櫛由之)

十月の鯨の夢を聴きました 夕べ別れた人と見る花

090:唯(有櫛由之)

泣きさうな子供が掴みそこなったトビの影 あれは唯のうみかぜ

089:出口(有櫛由之)

あを深しあらぬ出口に木犀の香は立ちのぼる 五位の眉さき