2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧
とほとほと霰降る夜の手習ひのこれは疵跡これはくちぐせ
団栗に飽きたら鮭を喰ひませう穴のことならしばし忘れて
うす曇散華の蓮の珊瑚朱に掻き傷ほどの見覚えがある
さんざしの宴は果てて谷の陰あるいは流れあるいはよどむ
をさな子の手もとのたんを離れたるポポよふはりとなか空わたれ
きさらぎのをとこと因りをもどしけり梔子にほふ五月闇の辻
あるいは声低くかすれて聞きたがふ由なき兄のアンタナナリボ
敗戦の連絡抱へ鳩は翔ぶ妻に金雀枝一枝くはへて
真っ昼間アップライトを叩きつつ(You make me)feel like a natural woman[貴様の為に吾はをんなよ]
おそろしき闇は真夏の日盛りに栗の香消え入るほどのますらを
青とほし噴上げの風不意にして疾しあるいは洗ひ朱の兄