2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

080:標(有櫛由之)

紫の葡萄啄む唇のまま標野迷ひてきみこふる歌

079:筆(有櫛由之)

さはれなほ筆跡をまねつつ惑ふわが純情をはげしくほふれ

078:ソース(有櫛由之)

小鳥には鳥用の神しづか夜にふつふつ煮込む木苺のソース

077:等(有櫛由之)

しらしらと此の世に浮かぶやはらかき歌よわれらに降れよ等しく

076:舎(有櫛由之)

キリン舎の高窓越しにゆふべ見し夢のはなしを語りあふべし

075:短(有櫛由之)

あさがほの短日植物てふ性をはつか愛せり宿酔の午

074:唾(有櫛由之)

食卓に唾で描きつつ哀しめり如何なる星座にも行けぬこと