095:申(有櫛由之)
三申の言はざる日こそ哀しけれ戦後戦前縄のごとしも
094:腹(有櫛由之)
地下茎はあるといふね隣人の光合成に空腹は満つ
093:わざわざ(有櫛由之)
鄙の湯にわざわざバスを乗り継いでその日に帰るやうな恋だな
092:徴(有櫛由之)
うろくづに怒りの徴ちりつどふ 寧ろ悲しみこそわれに降れ
091:略(有櫛由之)
計略のラガーマンこそ愛しけれあした木枯らし鬢にぞ吹く
090:山(有櫛由之)
苦々しく胡桃噛みつつ仇敵の忌にぞ山茶花は咲き初めけむ
089:マーク(有櫛由之)
逢ひたしと言へば世界は傾いてブックマークの紅葉落ちけむ